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谷山浩子ベスト 白と黒/谷山浩子【CD】 [レビュー・感想]

谷山浩子ベスト 白と黒

谷山浩子ベスト 白と黒

  • アーティスト: 谷山浩子, 石井AQ, 乾裕樹, 倉田信雄
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックコミュニケーションズ
  • 発売日: 2005/12/07
  • メディア: CD

>本人の選曲による2枚組べスト・アルバム。代表曲/名曲を集めた“白”盤と、シュールな個性が強く出た“黒”盤から構成されるもので、両極端と言える彼女の世界観がこの一作で存分に味わえる。

という事で、谷山浩子のベストアルバム「白と黒」。発売は去年の12月だったんだけど、何となく買うのを延ばし延ばしにしていて、こんな遅ればせながらのレビューになってしまったのだった。実を言うと私にとって谷山浩子の音楽というのは、普段は思い出しもしない程何の気にも留めない、という時期もあれば、ある日突然急に、モーレツに聴きたくなって一日中同じアルバムをかけていたりする、というように「聴きたい欲」に波があるので、気が向かないと本当に何枚も新作を買わなかったりだとか、そういう事があるのだった。

本来ならここでは、読んだ人が買いたくなるような「ココがオススメ!」的内容説明を書いた方がアフィリエイト的にも宜しいのだろうし(笑)、それが本来のレビューというものだろう。
だけども私にとって、谷山浩子の歌、谷山浩子の曲、谷山浩子の文章、谷山浩子のセカイ、そういったもの達は余りにも思い入れが強すぎて、とても冷静なレビューなんか書けそうにもない。何しろ私がまだほんのコドモだった頃から、所謂思春期の複雑な頃、大人の階段昇るシンデレラだった頃(笑)、世間の荒波にとつぜん放り出されて途方に暮れていた頃、そして今に至るまで、ずっとずっと隣に居て一緒に過ごしてきたもの達なのだ。
だから、レビューというよりは感想文とか、思い出語りみたいなものになってしまった。おまけに長いし。それでもよければ、しばしお付き合いを。

ディスク:1[白]
所謂普通のベスト版、といえるバージョン。比較的70'sとか80'sの曲が多い。……という事はナンだ、谷山浩子のピークは70~80年代だって事なのだろうか(汗)。まあでも、この頃の方が「知る人ぞ知る」という存在だっただけに、カルト的パワーがあったなあ、というのは感じる。
1.銀河通信
本当はこのバージョンよりシングルバージョンの方が好き。なので口ずさむ時も「そーれーはー、どーこーかー、うーちゅーうーのーはーてのー」というフシになる。
シングルバージョンの方が「宇宙の彼方からアヤシイ電波が飛んできた!」という感じでいいと思うんだけどな。

2.カントリーガール
ベスト版には必ず入っている、谷山浩子代表中の代表曲……なのに、尺の関係か、いつも3番で終わっている事が多い。谷山浩子ビギナーがこの曲を悲しい歌だと勘違いしてしまっている一因(笑)。今回はきちんと「幻の4番」まで収録されているので、晴れてハッピーエンドである。
ところで今回のアレンジは初めて聴くバージョンだった。どの音源に入っているんだろう……と思ってブックレットを見てみたら「カントリーガール」だった。あ、コレ持ってないや。

3.まっくら森の歌
NHKみんなの歌でお馴染み。最初に聴いたのは「水玉時間」に入っている方のバージョンだったので、こっちのバージョンの方が違和感……。
4.学びの雨
銀座のミニライブに行った時、生で聴いた曲。ライティングが綺麗だったのを覚えている。
5.会いたくて
「淋しいという気持ちを初めてぼくは覚えた」というフレーズを何度も何度も聴いているうちに、本当に淋しくて涙が出た。「歪んだ王国」に入っている曲は、どれもこれも胸が苦しくなる位に淋しい。
6.小さな魚
これと「SAKANA-GIRL」をちゃんと両方収録した浩子さんは偉いと思う(笑)。
7.河のほとりに
大昔に親と一緒に2時間ドラマを見ていたら突然この曲が挿入されて面食らった。ちなみに主人公の女が愛する男を殺してアパートの床下に埋めて、遺体の周りにぎっしりと花を敷き詰めている、というシーン。今となってはタイトルすらも判らないドラマなんだけど、訊けるものならこのドラマのスタッフにどういう意図だったのか……というかぶっちゃけ谷山浩子がどういう歌手なのか判ってて使ったのか訊いてみたい。
ちなみにその時、どうせなら「花を飾って」にすればいいのに……と思った事は内緒。

8.SORAMIMI~空が耳をすましている~
すっごい大好き、とか一番好き、とかいう程好き好き大好き、という曲ではないのだけれど、今回みたいにフト久し振りに聴く機会があったりすると、いい曲だなあ……としみじみせつなくなってしまう。大仰なサウンドもシュールな歌詞もないけれど、胸の奥にじーんと染みこんでくる、そんな感じ。もしかしたら最初に聴いた頃に恋でもしていたのだろうか。覚えてないけど(笑)。
9.ひとりでお帰り
谷山浩子の世界を端的に説明するのに最適な曲、だと思う。ひとりぼっちで立ち尽くしている相手を励ましたり、そばに寄り添って温めてあげたり、だとかいう歌はこの世の中に星の数程あるけれど、谷山浩子はそんな事は唄わない。
「どんなに淋しくても、きみはひとりでお帰り」。
さらっとこんな事が言える人に私はなりたいし、どんなに淋しくてもひとりで帰れる人になりたい。

10.お早うございますの帽子屋さん
この曲は、私にとっては字面だけでなく体感的にも朝のイメージ。何故ならオールナイトニッポンのリスナーだったから……。これが流れてくる頃には窓の外が仄明るく白んで、ああ朝になっちゃったなあ、という気持ちになるのだった。そんでもって金曜日の朝には眠い目をこすりながら登校していた訳である。
11.風になれ~みどりのために~
エーザイのサクロンのCMソング。ある意味一番知名度が高いであろう曲。私くらいの年代の人なら、タイトルは知らなくても、サビのところをちょろっと聴いただけで「あ~あの歌!」とばかりにポンと膝を叩く筈だ。
どうでもいいけど、この曲もバージョン多いよなあ。全部で何バージョンあるんだろう。

12.窓
私もどちらかといえば授業を聞かないで窓の外を見ている子だったので、なんだか懐かしくなる曲。一番鮮明に覚えているのが、雨の日に校門の脇の草むらで白い猫が眠っている風景で、今だから言うけど超大昔に書いた「雨曜日白猫」というお話はこの時見た光景が元になっている。
13.MOON SONG
無理をせずにだけど逃げないで。難しいね。
14.恋するニワトリ
学生時代にコーラスをやっていたんだけど、文化祭の演目でコレをやる事になって、伴奏とアレンジをやってくれた子に参考用にと渡したテープが、オリジナルの方じゃなくてアレンジバージョンの方(「空飛ぶ日曜日」に入ってるやつ)だった。悪い事してしまったな、と今でも思っている(笑)。
15.海の時間
ずっと昔から自分の頭の中でイチャついている(笑)、脳内兄弟、というか脳内従兄弟、のキャラクターがいて、勝手にそのコ達のテーマソングにしているのがこの曲。二人で同じベッドにもぐりこんで、頭から布団をかぶって一緒に図鑑を見ているイメージ。この二人のお話は書こう書こう、というかむしろ描こう描こう、と何度も思っているんだけど、イザ形にするとなるとなんだか違うイメージになってしまいそうで、いまだに踏み切れてない。
16.神様
上述の通りしばらく谷山浩子を全く聴いていない時期、というのが何年か置きに存在していて、この曲もそのスポットにすっぽり嵌っていた。ので実は初めて聴いたのはつい最近。ラジオドラマの主題歌だった事も知らなかった。
何度も何度も聴いているうちに無性にせつなくなってくる。三拍子というのは無条件で、日本人の胸の奥を掻き毟る何かがあるんじゃないのかなー、と思う。

17.ねこの森には帰れない
この曲は土曜日の夜のイメージがある。何故なら「谷山浩子のニャンニャンしてね!」のリスナーだったから(笑)。
一人ひとり、どんな人にも誰にでも「ねこの森」は存在している。もう帰れない場所だからこそ色褪せない素敵な思い出。
「淋しくなったら電話をかけてあの人とふたり街を歩くわ」っていうところが好き。

ディスク:2[黒]
こちらの方がむしろ谷山浩子の本領発揮。……でも本当なら「仇」や「王国」は「鏡」や「あたしの恋人」あたりと併せて更に別ディスクにした方が良かったんじゃないのかなあ。んんー、白と黒なんて事言ってないで赤青黄、の三枚組でも良かったのでは(笑)。
1.たんぽぽ食べて
たんぽぽ、という可愛らしい植物を題材にしておきながらこんな曲になってしまうのは、やっぱりこの人だけだろう……と思うのだった。アスファルトの隙間から健気に咲いている花も、谷山浩子にかかるとエイリアン扱い。
2.ドッペル玄関
見ると死んでしまうのがドッペルゲンガー。開けたら最後なのがドッペル玄関。こういう言語センスが素晴らしい。「うさうさアザラシ」のところが好き。
3.人形の家
「私は貴方に命をあずけた」の方じゃないよ(笑)! 人間の一番物覚えがいい年頃に飽きもせずに毎日毎日繰り返し聴いていたので、今でもソラでフルコーラス唄えてしまう歌。脳細胞の無駄遣いだ(笑)。
4.SAKANA-GIRL
「小さな魚」の主人公の末路、なんだって……。コンサートパンフで本人が言ってたんだから間違いないやい! そーゆー事をさらっと言えるヒロコさんはホントにすごいや。
5.ガラスの巨人
崎谷健次郎の提供曲では一番好き。「悲しみが攻めてくるよ……」の繰り返しが、なんだか本当に悲しくなってくる。メロディーラインもストレートで綺麗。
6.悪魔の絵本の歌
最後のどんでん返し(?)がなんとも言えずあと味悪くて、またそのあと味の悪さが癖になる、というか。「たんぽぽサラダ」に入っている曲は名曲が多いね。
7.てんぷら★さんらいず
オールナイトニッポンのオープニングテーマだったので、こちらは真夜中午前三時のイメージがある曲。これから楽しい二時間が始まるのだー! というワクワク感みたいな思い出がある。上手く起きていられなくて寝過ごしちゃったりもしたんだけど。
8.そっくり人形展覧会
>間奏部分で司会者の声をやっているのは、元花組芝居、現日テレのお天気お兄さんの木原実さんです。
き、気がつかなかった……十年以上も聴いてるのにorz
これはやっぱり、原作の『お昼寝宮・お散歩宮』を知っている方が楽しい曲、だと思う。「ほんものはひとつだけチャンスはたった一度だけ」って、なんだか奥が深いなあ。

9.仇
こういう曲を定期的にサラリと発表できてしまえるところが、やはり谷山浩子は凄い。普通だったら一曲で精根尽き果ててしまうところではないだろうか。
ラストの四行が圧巻。

10.ダイエット
……て、「ダイエット」っていう題材でなんで宇宙にまで話が大きくなるんだろう。こういう発想には勝てない。
11.穀物の雨が降る
言われないと渋谷の歌だとは判らない。最近の渋谷を歩いている人々はもう、トカゲどころかカエルかサカナあたりまで退化している。
地球が滅びちゃうあたりが谷山チック。

12.不眠の力
大好きな一曲。相手を亡ぼす程破滅的な恋、というのは、私にとっては谷山浩子の歌の力を借りなければとても想像できるものではない。
13.王国
――思い入れが強すぎて最早言葉にできない位愛している。マイベストフェイバリットナンバーワン。本腰を入れて正座して聴きたい。
ワンフレーズ、一言、一文字とて無駄がない。完璧。閉じた世界の中で歌い上げられる永遠の愛の、何とせつなく、悲しく、美しく、醜く、苦しい事か。
最後に唄っているのが綾辻行人さんだというのをさっぴいても(笑)一番好きな曲。「歪んだ王国」を最初に聴いた時にオープニングナンバーがいきなりこれで、いきなり打ちのめされてしまった。

14.リカちゃんのポケット
これも渋谷の歌。漫画にしろ小説にしろ自分のオリジナルのお話のキャラクターに「ポケットにいつも甘いものを忍ばせている」という裏設定が多いんだけど、それはこの曲の影響。私自身は、小さい頃虫歯持ちで「キャラメルやチョコレートやチューインガム」を厳しく禁じられていた所為か、小腹が空いた時は甘いものよりも塩気のあるものが欲しくなるんだけどね。
15.キャンディーヌ
比較的最近の曲なのにノリが80年代っぽいな、と思っていたら、元ネタが20年以上も前だったとは。「星を口に詰め込んで笑っている」っていうフレーズが好き。
16.意味なしアリス
これはちょっとやばいのでは(笑)。マジックでマッシュルームな歌にしか聴こえないよ……。「鍋にぶち込んでキノコと煮てみた」以降どんどんヤケクソ気味に加速していくのが面白い。
17.楽園のリンゴ売り
これも随分ラリラリな曲だなあ、んもー、こんなんばっか。

冷静に見返してみたら、自分的に初出っていうか初聴な曲は(まあ“谷山浩子歴”を考えれば当たり前なんだけど)一曲もなかった。
わ、わざわざ買う必要もなかったのではー!!
……でもやっぱり購入して良かった。自分でベスト版作るのは疲れるしね(笑)。それにCD音源持ってない曲もあったし……って、御免、年寄りくさくて。
有名どころしか知らなかった、という向きの方は是非とも購入を検討されたし。じっくり、どっぷり、そしてたっぷりと“谷山浩子ワールド”を満喫できる事間違いなし。

以下、その他おすすめのアルバムなど。

▼個人的に谷山浩子の最高傑作だと思っているアルバム。何というか、「凄味」のある一枚。

歪んだ王国

歪んだ王国

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1992/06/03
  • メディア: CD


▼「恋するニワトリ」のアレンジバージョンはこちら。「再会」はスケールの大きい名曲。

空飛ぶ日曜日

空飛ぶ日曜日

  • アーティスト: 谷山浩子
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1991/05/21
  • メディア: CD


▼オリジナルバージョンはこちらでどうぞ(笑)。他にも「まっくら森の歌」「おはようクレヨン」などキッズ向けの曲が中心。

しっぽのきもち

しっぽのきもち

  • アーティスト: 谷山浩子
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1991/05/21
  • メディア: CD


▼小説『お昼寝宮・お散歩宮』をもとにした組曲仕立ての一枚。

お昼寝宮お散歩宮

お昼寝宮お散歩宮

  • アーティスト: 谷山浩子
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1991/05/21
  • メディア: CD


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伽羅

今度貸してほしいって言ったら困る?
聞きたいなぁ。
by 伽羅 (2006-06-18 02:19) 

agegomoku

別に困りはしないですよ~。
書いた通り全曲別の音源持ってるし(笑)。
みんなのつどいの機会があったら持っていくね。
by agegomoku (2006-06-18 11:22) 

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